FC2ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

1

「だからイージーカム、イージーゴウなんだよ」

ドア越しに男は俺に語っていた。もう既に聞き飽きる程、同じ単語ばかりを繰り返し言っていた。
聞けば簡単に手に入った物は簡単に出て行くという意味らしく、先日破局した彼女を例に、何度も繰り返していた。
当然、俺はそんな事に興味は無く「そうですね」と手元の小説に目を落としながら曖昧に返事を返していた。

「おっと。もう時間だ」

男はそう言うと、扉の鉄格子越しに見えていた帽子より下が露になった。
ドアノブを触っているのか、こちら側のドアノブがガチャガチャと小刻に揺れている、どうやら鍵を開けているようだ。
鍵が外れる音がして、扉が開いた。目の前には先程まで一方的に話していた男が立っている。
馴染みある紺色の制服に帽子、どう見てもサラリーマンではない。国民の安全と治安を守る警察官だ。そして此処は喫茶店でもなく、ましてや交番でもない。刑務所だ。
俺は善良な国民ではない。当たり前だ。善良な国民はこんな所に三年間も居ない。そう、俺は世間一般からはみだした"犯罪者"なのだ。
犯罪と言っても殺人とか横領なんて大きな物じゃなくて、只の空き巣だ。まぁ犯罪に大も小も無いが……。
俺は高校を卒業すると同時に親の意見も聞かずに家を飛び出して、友人や親戚も居ない土地へと移った。
都会でも田舎でもない小さな学生街。大学が近くにあるお陰で安く部屋も借りれたし、バイトを見つけるのにも苦労はしなかった。
親に保証人になって貰う為には苦労をした。一週間は公園で寝泊まりして過ごした。
初めは真面目に働いた。毎日の様にバイトを入れ、とにかく働いた。しかし、一度友人とギャンブルに手を出してからは、まるで坂道を転がるビー玉の様に落ちていった。
ギャンブルというのは恐ろしい。幾ら金を持っていかれようが、次こそは当たるという超ポジティブ思考になってしまうのである。
余裕のあった貯金は無くなり、バイトの給料日まではまだ日数があり、明日を生きるのに必死だった。
空腹を紛らわす為に俺は近所を散歩していた。見慣れた景色、何でもない只の住宅街だ。途方に暮れていたそんな時に一軒の家が目に付いた。
どこにでも在るような普通の一軒家。但しガレージには車や自転車が無いし、玄関は開きっぱなしになっていた。どう見ても留守だった。
試しにチャイムを押してみるが、応答は無い。完全に留守だと確信を得た俺は沸々と沸き上がる物を抑えきれない。
スポンサーサイト

comment

管理者にだけメッセージを送る

こんばんは、はじめまして!要人さんのところ見て来ました。
犯罪者が主人公って面白い設定ですね。大学で犯罪心理学とか勉強したので、興味津々です。続き期待してます。
応援ポチしておきますね(・∀・)
プロフィール

キイト

Author:キイト
名前 キイト(由来は特に無いです

性別 男性

年齢 二十歳以下です

これでもある球技で全国でてます。ちなみに主将。
唯一の自慢できることでした。

好きな物はバイクやゲーム。
最近ちょっとオタクに近づいてたりします。萌えー

最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
カテゴリー
ブログ内検索
RSSフィード
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。