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―今なら中に入っても誰も居ない

心の中でそう呟いて見知らぬ家の敷居を跨ぐ。「お邪魔します」と律儀に小声で挨拶をして靴を脱ぐ。そして一番手前の部屋に入った。
その部屋は居間らしく、液晶テレビに座り心地の良さそうなソファー、そして硝子のテーブルの上には一枚の封筒が置いてあった。
俺はその封筒に手を伸ばすと封を開けて中身を確認する。運が良かった。中には慶應義塾の創設者が五人も入っていたのだ。
俺は手に持った五万円を握り締めダッシュでその家を後にした。家に着くまでの間、一度も減速することもなく一気に走り抜けた。
まるでリレーの走者の様に手をブンブンふり、太ももが胸に着くぐらい足を上げた。手にはバトンではなくお金を握っていたのだけれど。

四畳半のお世辞にも綺麗とは言えない自室で、俺は先程盗んだ五万円をちゃぶ台に並べた。
バイトの時給が850円。俺は今、実に58時間分の給料をたった数十分で手に入れた。
しかし俺の頭の中は不安で一杯だった。自慢ではないが俺は今まで犯罪なんて犯した事はない。それこそ真面目な子供として周りからは評価されていたのだ。
ほんの少し前までは犯罪には手を染める事など考えてもいなかった。
直ぐに警察がやって来るのではないか?目撃されていたのではないか?
そんな不安が俺に乗し掛り、テーブルの上に並べた福沢諭吉が俺の事を鼻で笑っている様に思えた。
しかし幾ら経っても警察はおろか、誰もやって来ない。俺は意を決して再び外にでた。勿論、財布の中にお金を入れて。
向かった先は近所のスーパー。買い物籠を持つとありったけの食材を中に入れていった。周りから監視されているような感覚。レジに持って行きお金を出した時は気絶してしまいそうな位に緊張した。
無事に買い物を終え、自宅に戻る。そして溢れんばかりの食材を冷蔵庫に無理矢理詰めていった。
そして数週間が経ち、警察にもどうやらバレていない事に気付いた俺は、バイトを辞めた。
再び俺は空き巣に入る為に近所を散策していた。やはり人間というのは脆いもので、一度道を踏み外したら、止まる事が出来ない。罪の意識なんてあっという間に無くなる。
殆ど犯罪を犯す奴は同じ様な考えだったと思う。

空き巣を初めて数年。何時もの様に民家に忍び込み、物色をして現金を探し出す。それをポケットに詰め込むと何食わぬ顔で家を後にする。
後は家に帰れば終わり…だったんだけど、俺は警察に取り押さえられた。
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キイト

Author:キイト
名前 キイト(由来は特に無いです

性別 男性

年齢 二十歳以下です

これでもある球技で全国でてます。ちなみに主将。
唯一の自慢できることでした。

好きな物はバイクやゲーム。
最近ちょっとオタクに近づいてたりします。萌えー

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