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6

適当にカーナビを操作しながら、次の行き先を決める。とにかくより遠く事件現場から離れた方がいい。
北か南か、どちらでもいいからなるべく人が少ない土地を目指す事にした。
「あ!」
カーナビに映る地図を縮小し、日本全体が眺められるようになると、突然少年が声を上げた。俺はバックミラー越しではなく直接少年に顔を向けた。
「どうしたんだよ」
出来るだけ冷ややかに言い放つ。こんな子供のせいで計画を狂わされてしまってかなり頭にきていたからだ。
しかし少年に俺の不機嫌さは伝わる事もなく、目を輝かせながらカーナビを見つめていた。
「僕、あそこに行きたいんです!」
そして後部座席から身を乗り出して、カーナビに直接指をつける。少年の指に反応してカーソルが動き少年が示した場所に辿り着く。そこは日本海に面したとある県だった。
ここからの距離はかなりある。そして俺が知る限り、そこは都会よりは田舎と呼ばれるような場所だった。
少年は期待に満ち溢れた表情で俺を見つめている。俺は少し考えた後、カーナビをタッチして目的地を設定する。そこは少年が示した場所。
機械的な女性の声の後、目的地までのルートが表示された。それと同時に少年が満面の笑みを浮かべ「やったー!」と大袈裟にガッツポーズをした。
別に少年の為じゃない。たまたま目的地が俺の考えていた条件に当てはまっただけだ。それに断ったらどうせ駄々をこねるだけだろう。その後の対応が面倒だからだ。
車を発進させようとする前に一度車から降り、自販機で缶ジュースを二本だけ買って車に戻った。
その内の一本を少年に渡し、シートベルトを締める。そして俺は口を開いた。
「そういや聞いてなかったな、お前、名前は?」
俺の問い掛けに一瞬眉間にしわを寄せたが、すぐに笑顔になって答えた。
「秀護です。しゅうさいのしゅうに、ごえいのごで秀護。おじさんは?」
恐らく秀才や護衛の意味も分からずに親に教わった通りに言っているのだろう。そして俺は少年…いや秀護の問い掛けに答えた。
「太宰だ」
「だざい…さん?」
オウムの様に俺の言葉を繰り返す秀護。もちろん俺の本名ではない。刑務所で最後に読んだ本が太宰治の人間失格だったから、そこから頂いた。
「宜しくお願いします。太宰さん」
笑顔のまま、なぜか名前の部分だけ少し強調して頭を下げる秀護に俺は「よろしくな」とだけ呟いてギアを変えアクセルを踏んだ。
カーナビの地図を頼りに車を走らせる。なるべく国道を避け、日本海を目指す。
途中、秀護が「隣の席がいい」と言って走行中にも関わらずナビシートへ移動してきた。
「おい、シートベルトは締めろよ」
「え~、嫌だぁ」
俺の忠告を口を尖らせて拒む秀護。名前を教えてから俺に対する敬語は綺麗に無くなっていた。
「危ないだろ」
秀護に目線は一切向けず、フロントガラス越しに辺りを警戒しながらの言葉だった。
秀護は俺の言葉に渋々といった感じでシートベルトを締める。これで一安心だ。シートベルトの締め忘れで警察に捕まる、なんて間抜けとしか言えない。
だから自己中心な子供と同行しているのは、俺にとって爆弾を積んでいるような感覚だった。
「赤か…」
信号機の灯火が赤になり、車を停止させる。そして目の前の横断歩道をプールバックを持った小学生達が渡って行った。
―そうか、夏なんだな…
忘れていた訳では無かったがもう季節は夏。窓を開ければ蝉の声も、熱い日差しも入ってくる。学生の頃は待ち遠しくてしかたなかったが、
今は暑いだけのうっとうしい季節としか感じなくなっていた。
刑務所という非日常に身を置いていたせいか季節だけではなく、全てに対し億劫な気持ちになることが多かった。
「なぁ、もう学校は夏休みなのか?」
目の前を笑顔で歩く子供達を見ながら、相変わらず目線は向けず、抑揚の無い言葉を秀護に投げかけた。
「うん…」
横目に見えた顔を伏せて答えるその姿は俺の予想とは少し違っていた。今までの様に無駄にはしゃいで答えるのかと思っていた俺は違和感を感じた。
普通の子供だったら夏休みと聞くだけで無邪気に喜ぶはずじゃないのか?まぁ世の中の全ての子供が全員そうだとは言わないけど…
少なくともコイツはそう言った反応を見せると思っていたので、余計にそう感じてしまったのかもしれない。
信号が青を点灯させ、再び車を走らせる。重くなった車内の空気、カーラジオから流れるニュースを読む声だけが響いていた。
それにしても、この車(秀護も)を盗んでから随分と時間が経ったというのに、未だに誘拐事件の報道は流れていない。
極秘に捜査を進めているのか、ニュースにするほどの事件ではないのか…
ひょっとしたら通報されて無いのかもしれないという有り得ない事まで考えてしまった。
いくらなんでも既に通報はされているだろう。そうなると報道されていないのはやはり前者が理由だと考えるのが妥当だ。
ちらりと秀護を見る。するとまだ俯いたまま、黙っている。俺は重い空気に耐えきれず、息を吐いてから口を開いた。
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日本海側の田舎…、まるで自分の住んでいる街みたいです><

どういう方向で進んでいくのか楽しみですわ♪

実は秀護は女の子で、太宰に突然の告白。
焦る太宰、頬を赤らめる秀護…
はたして二人の運命は…!?


この予告はフィクションです。
プロフィール

キイト

Author:キイト
名前 キイト(由来は特に無いです

性別 男性

年齢 二十歳以下です

これでもある球技で全国でてます。ちなみに主将。
唯一の自慢できることでした。

好きな物はバイクやゲーム。
最近ちょっとオタクに近づいてたりします。萌えー

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