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「終」

既に季節は一巡し、夏。俺は新幹線の自由席で勢いよく流れる景色を眺めながら車内アナウンスをぼんやりと聞いていた。外には緑豊かな山々と、いかにもといった青い空が広がっていた。どうやら現在は山間部を走っているようで、トンネルを潜ってはまた潜るというのを繰り返していた。その旅に買って数ヶ月の携帯が圏外になってしまうのが少々難だった。
トンネルを出てメールを受信し、潜っている途中で本文を打つ。そして再びアンテナが立つとメールを送信するというあまりタイムリーでは無い。まぁあまり重要な内容では無いので問題はないけれど、普通の送受信のスピードに慣れてしまった俺としては思わず爪を噛んでしまいそうだった。
相手は空見子さんだった。
あの一件が終わり数日後、空見子さんは嫌がる秀護を説得し、俺は父親の元まで送り届けた。予想外といったら語弊があるかもしれないが秀護の父親はあまり俺も秀護も責めなかった。恐らくは空見子さんが根回しをしてくれていたのだろう。
秀護のことが気がかりだったが、親父さんの様子を見た限りではあまり心配することでは無いように思えた。きっと父親も憎くて秀護に暴力を振るっていたわけではないのだろう。きっと空見子さんと別れて何かが変わってしまったから何だと思う。ちなみに余談だが、父親は新しい母親と別れたらしい。
誘拐犯として俺は警察に突き出されることは無かったが、俺は白のセダンごと自分で警察署へと出頭した。いわゆる自首という奴だ。そこでも意外なことに数日留置場に入れられただけで特にお咎めなしだった。執行猶予中に明らかに法を違反してしまっているのに関わらずこれでいいのか?と拍子抜けしてしまう程だった。
そして俺は実家へと戻った。長い間離れていた土地はコンビニが一件増えただけで、それ以外は何も変わっていなかった。勘当された両親と話し合い、時に父親に拳骨を浴びせられたがなんとか和解することができた。
勘当したといっても、家族が犯罪者ということだけで色々と問題があったらしい。村八分のような扱いも受けた時もあったらしい。その話を聞いたとき俺は罪悪感から涙を流してしまった。そして地元に就職し少しずつ罪滅ぼしをした。冷たい目で見てきた近所の方々も、縁を切っていたと思っていた友人達とも徐々に壁が無くなり、最近ではほとんどそういった扱いは受けなくなった。
そして冬を迎えたときに一通の手紙が俺の元へ届いた。差出人は空見子さん。以前から秀護とは電話や手紙のやり取りはしていたが空見子さんとはあの一件以来連絡は取っていなかったので、初めは目を疑った。
手紙の内容には手術が成功し、回復へと向かっている事と、あの日のお礼が綴られていた。そして幾度か文通を交わしているうちに、住所が病院から一般の元へと変わっていた。文面でも書かれていたが退院したらしい。それが今春のことだった。
どうやら旦那と復縁の話も上がっているらしく、文面からも嬉しさが伝わってきた。そして俺も純粋に祝福の言葉を書いて送った。
そして、今日。完全に復縁したらしい二人と秀護に会うために俺は一年ぶりにあの町に向かっている。今では新しい日常を送っている俺と秀護達。きっと以前の日々はもう非日常へとなってしまっているのだろう。だけどもう俺は非日常には憧れない。例え芸能界にスカウトされたり、秘密組織に勧誘されても俺は断るだろう。
その世界に行っても目新しいのは初めだけ。すぐにそれは日常となり、繰り返される日々となってしまう。だから俺は平凡と呼ばれる今の生活で十分だった。ずいぶん遠回りして気付いたことだけども、あれだけ体験して気付いたことだった。
「あれ?お前…」
不意に誰かに話しかけられた。目を向けるとそこには見知らぬ男がいた。いや、少し見覚えがある。
「俺だよ、お前の看守やってた。小説面白かったぜ」
ああ、そうかあの時の看守か。やっと記憶の隅から現れた顔と、目の前の男が一致した。しかし俺がすぐに気付かなかったのも、彼にも原因はある。黒かった髪は派手な金色となり、綺麗だった福耳にはピアスがぶら下がっていたのである。
「ああ?これ?俺仕事やめちゃったんだよね。元々コネで入ったようなもんだし」
俺の怪訝な目線に気がついたのか右の耳たぶを指差しながらへらへらと笑う。相変わらずの軽い性格だ。俺はいつぞやの様に「そうですか」と曖昧に返事を返す。
「それで、俺今旅に出てるんだ。自分を見つめなおすっていうか、振り返るというか…そう!イージーカムイージーゴウなんだよ!前にも言っただろ?簡単に手に入れたものは簡単に失う。逆に苦労して手に入れたものはちょっとやそっとじゃ無くならない!俺は今そのプロセスを作ってるんだ」
拳を握り締め熱く語る元看守。以前の俺だったらまた「そうですか」と返していたけれど…俺は黙って頷いた。
―イージーカムイージーゴウか。同感だね


「easy come easy go」完



あとがき

えーっと。一応あとがきを残そうかな、と思います。
まず初めにこの作品を読んでくださった方々。ありがとうございます。わざわざ時間を割いてまで読んでいただけて、それだけでも本当に嬉しいです。

どうでしたか、何か感じてくださいましたかね?
好きな作家さんの受け売りなんですが。この作品を読んで
「つまらない」
「意味がわからない」
「感動した」
「悲しかった」
「面白かった」
その方が感じてくれた事がこの作品の全てです。

あまり描写や、スキル云々は上手ではないですが、本人としては楽しく書かせていただきました。TOPでも書いてある通り、ただの趣味で、本当に自己満足のような作品です。

今自分で読み返してみて「初めと最後の文の書き方がなんか違うww」と自分で思ってみたり。「なんかラストシーンとか盛り上がってねえww」とか自分で突っ込んだりしてました。
暇があればきちんと推敲していきたいなぁと思ってたりします。

んで基本ハッピーエンドが好きな自分としては一番いい形で終れたかなぁと思います。
父親はまともになり、空見子さんの病気も治り、秀護に元の日常が戻り、太宰も新しい日常をスタートさせることができました。
作中では空見子さんと太宰が「俺達は何もしていない」的な考え方を持っていましたが、秀護を含めこの三人は互いにいい影響を与えていたと思います。
太宰は空見子さんを救い、空見子さんは秀護を救い、秀護は太宰を救った。もちろん秀護が空見子さんを救ったり、太宰が秀護を救ったりもしました。
結局みんな他人に気を使いすぎてたんでしょうね。

この作品を書くにあたって決めていたテーマが二つ。
タイトルにもなっている「easy come easy go」はしょって言えば「プロセスが大事」ってことですね。
そしてもうひとつが「日常と非日常」
なんかどっかのエロゲみたいなテーマですが、どちらかというとeasy come easy goよりこっちの方が強く出ていますね。
まぁこれも詳しく書かなくてもそのまんまなんで省きますww


とまぁあとがきでも収集つかないダメな子ですが、最後にまた感謝させていただきます。

要人さん。
小説を書くきっかけをくれてありがとうございます。素子や誠一などの魅力的なキャラも作れず、ヨーグルトや萌えと剣のような面白いストーリーも構成できない僕でしたが、いつもいつもコメントを残してくださって本当に励みになりました。
自分の思考を文字にするってことが改めて素晴らしいものだと実感しました。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。


四葉さん。
これも要人さんがきっかけでしたが、途中からコメントを残していただいたりして、本当に嬉しかったです。キッドナップツアーの時はちょっとビックリしましたけどw。
「淡々と、それでいて力強い文章に若さを感じます」このコメントが僕の支えとなりました。本当にありがとうございます。

そして、コメントは書かれませんでしたが、見てくれた方々。本当に感謝しております。一人でも見てもらえている、そう思うだけでこの物語を綴ることができました。多謝!!



それでは、またいつか!(本編よりあとがきのほうが長いキイトでした)
プロフィール

キイト

Author:キイト
名前 キイト(由来は特に無いです

性別 男性

年齢 二十歳以下です

これでもある球技で全国でてます。ちなみに主将。
唯一の自慢できることでした。

好きな物はバイクやゲーム。
最近ちょっとオタクに近づいてたりします。萌えー

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