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適当にカーナビを操作しながら、次の行き先を決める。とにかくより遠く事件現場から離れた方がいい。
北か南か、どちらでもいいからなるべく人が少ない土地を目指す事にした。
「あ!」
カーナビに映る地図を縮小し、日本全体が眺められるようになると、突然少年が声を上げた。俺はバックミラー越しではなく直接少年に顔を向けた。
「どうしたんだよ」
出来るだけ冷ややかに言い放つ。こんな子供のせいで計画を狂わされてしまってかなり頭にきていたからだ。
しかし少年に俺の不機嫌さは伝わる事もなく、目を輝かせながらカーナビを見つめていた。
「僕、あそこに行きたいんです!」
そして後部座席から身を乗り出して、カーナビに直接指をつける。少年の指に反応してカーソルが動き少年が示した場所に辿り着く。そこは日本海に面したとある県だった。
ここからの距離はかなりある。そして俺が知る限り、そこは都会よりは田舎と呼ばれるような場所だった。
少年は期待に満ち溢れた表情で俺を見つめている。俺は少し考えた後、カーナビをタッチして目的地を設定する。そこは少年が示した場所。
機械的な女性の声の後、目的地までのルートが表示された。それと同時に少年が満面の笑みを浮かべ「やったー!」と大袈裟にガッツポーズをした。
別に少年の為じゃない。たまたま目的地が俺の考えていた条件に当てはまっただけだ。それに断ったらどうせ駄々をこねるだけだろう。その後の対応が面倒だからだ。
車を発進させようとする前に一度車から降り、自販機で缶ジュースを二本だけ買って車に戻った。
その内の一本を少年に渡し、シートベルトを締める。そして俺は口を開いた。
「そういや聞いてなかったな、お前、名前は?」
俺の問い掛けに一瞬眉間にしわを寄せたが、すぐに笑顔になって答えた。
「秀護です。しゅうさいのしゅうに、ごえいのごで秀護。おじさんは?」
恐らく秀才や護衛の意味も分からずに親に教わった通りに言っているのだろう。そして俺は少年…いや秀護の問い掛けに答えた。
「太宰だ」
「だざい…さん?」
オウムの様に俺の言葉を繰り返す秀護。もちろん俺の本名ではない。刑務所で最後に読んだ本が太宰治の人間失格だったから、そこから頂いた。
「宜しくお願いします。太宰さん」
笑顔のまま、なぜか名前の部分だけ少し強調して頭を下げる秀護に俺は「よろしくな」とだけ呟いてギアを変えアクセルを踏んだ。

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プロフィール

キイト

Author:キイト
名前 キイト(由来は特に無いです

性別 男性

年齢 二十歳以下です

これでもある球技で全国でてます。ちなみに主将。
唯一の自慢できることでした。

好きな物はバイクやゲーム。
最近ちょっとオタクに近づいてたりします。萌えー

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