スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

7

「なぁ、お前ってさ…」
俺の言葉に秀護は顔を上げ、こちらを見つめる。その瞳にさっきまでの無邪気さは無く、逆に酷く哀しげだった。
「夏休みは…普通友達と遊ぶもんじゃないのか?」
確かに家族旅行もするだろうが、コイツの場合は異質だった。冷静に考えると「ん?」と首を傾げる事が幾つかあった。
俺の質問に対して、秀護は一向に答える素振りをみせることなく再び俯いてしまった。きっと俺の言った言葉が図星だったのだろう。
「んじゃ、質問変えるぞ」
黙ったまま頷く秀護。俺はひとまず路肩に車を寄せて、停車する。
「この車の持ち主との関係は?」
これが、俺が抱いた違和感の正体だ。俺がこの車のオーナーと友人という、かなり無理のある言い訳をする前、そう秀護が言った言葉だ。
―あの人の、お友達ですか?
「あの人」と言う単語。小学生位の子供なら、少しでも面識をもったら馴れ馴れしく名前で呼ぶだろう。現に秀護は俺の事を「太宰さん」と呼んでいる。
親ではないにしろ、一緒に旅行する位仲のいい間柄なら「あの人」と表現するのは不適切だ。
「…お兄ちゃん……」
「それじゃあ名前を言ってくれ」
三万円を手に入れた時に見つけた自賠責の紙を眺めながら秀護に言葉をぶつける。こんな事ししなくても、もう答えは分かっているが念のためだ。
「え、えと……」
言いよどむ秀護。うっすらと瞳に涙を浮かべ今にも声を張り上げ泣きそうだった。
「はい、時間切れー」
俺はそう言うと、クイズの答えを後部座席に投げ捨て車を発進させる。俺は運転しながらナビを触り、高速道路を使うルートに設定を変えた。
報道されない誘拐。オーナーと関係が不透明な秀護。これだけの事があり判断した。恐らくは警察には捕まらないだろう。
俺は窓を開けて車を走らせる。信号に引っかかり停車する度に車内に入り込む熱い日差しと蝉の声。何故か心地良く感じてしまう。
最短距離を伝えるカーナビ、どうやら目的地に着くのは夜になるらしい。上等だ、例え何時間かかっても俺は苛立たないだろう。今は最高の気分なのだから。

more...

プロフィール

キイト

Author:キイト
名前 キイト(由来は特に無いです

性別 男性

年齢 二十歳以下です

これでもある球技で全国でてます。ちなみに主将。
唯一の自慢できることでした。

好きな物はバイクやゲーム。
最近ちょっとオタクに近づいてたりします。萌えー

最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
カテゴリー
ブログ内検索
RSSフィード
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。